経営者と税理士の関係はみうらじゅんさんと山田五郎さんの関係に似ている

みうらじゅんさんが最も面白く見える時

みうらじゅんさんが好きだ。

今回、youtubeのこの動画を見た。
(3回シリーズ)



山田五郎さんとのコンビの時、
みうらじゅんさんが一番生き生き輝いて見える。


2003年ごろ放送されていた、『仮性フォーク』というインターネットラジオ番組。
私はこれを繰り返し聴いて、みうらワールドにどっぷりとハマっていた。

高校時代から作った400曲近い曲。
みうらさんはこれを全てカセットテープに録音し、
カセット1本をアルバム1枚分に見立て、
自身でライナーノーツ(解説)まで書いていたという。

今のしわがれ声とは似ても似つかぬ甲高い声で、
ギターをかき鳴らしながら、恥ずかしい青春を赤裸々に歌い上げる。
その音源を1曲1曲順番に聴きながら、
山田五郎さんが厳しいツッコミを浴びせていく、という番組だった。

笑える。
毎回爆笑だった。

曲を聴くだけでも面白いのだが、
その面白さのポイントを見いだし、的確に、容赦なくツッコんでいく山田五郎さんにより、
みうらさんの曲はその存在意義を増したように思う。

番組の回数が進むにつれ、

〈とんちんかんなみうら楽曲に対し、説教気味にツッコむ山田五郎〉

という図式が定着したのだが、
実は最初の頃、みうらさんはツッコまれることに対し、気分を害していたという。
もっと真剣に聞いてほしいと思っていたらしい。
(そのエピソード自体が笑えるのだが)

しかし次第にみうらさん自身も、己の所業の異常さに気づき、
山田さんと一緒になって若かりし己自身ににツッコミを入れるようになっていったのだった。

山田さんの存在がみうらさんの個性をより際立たせた。
もしみうらさんがひとりでこの番組をやっていたとしたら、ここまで面白くはならなかったと思う。


この放送は、『DTF』というタイトルでDVD化されている。

自分の”最高”を引き出してくれる人

みうらさん、山田さんのご両人とも、仏教に関して大変博学であられる。
今回見た動画でも、二人が楽しそうにマニアックなやりとりをしている。

基礎的な教養があると一段上で遊べる、
というのは為末大さんの『熟達論』において、
”基本となる型を手に入れることで、上の階層で遊べるようになる”
と述べられていることに合致する。

と同時に、単なる教養の披露ではなく、
それをおかしみのある会話として成立させているところが素晴らしい。


動画の中で「真面目になると照れるんだよこの人」とツッコまれているとおり、
みうらさんはバカの立場がいい。
バカさと知性が併存しているところが魅力だ。

そして狂言回しとしての山田五郎さんがいい。

先の『仮性フォーク』では、
曲に絡めた、みうらさんの学友とのエピソードや、恋の話などが披露され、
山田さんはみうらさんとの青春時代を共有したに違いない。

それもあって、山田さんはみうらさんの面白いポイントをよく心得ていて、
視聴者の代弁者として、または視聴者の気づかないポイントまで掘り下げ、
みうらさんの面白さが最大限引き出されるように、
的確にツッコんでいく。

みうらさんは安西肇さんやいとうせいこうさんとタッグを組むことも多いが、
コンビのバランスとしては圧倒的に山田五郎さんがいい。
安西さんやいとうさんはどちらかというとみうらさんとベクトルが同方向なのに対し、
山田さんはそのベクトルに鋭く切り込みを入れてくれるからだ。


『パペポTV』における上岡龍太郎さんと笑福亭鶴瓶さんの関係も然り。
上岡さんにツッコまれてしどろもどろになる鶴瓶さんこそ最高の鶴瓶さんだ。

自分の”最高”を引き出してくれる相方がいたら最高ではないか。

伴走型ツッコミ

唐突だが、ここで1980年代の漫才ブームの「ツッコミ」を振り返ってみたい。

B&B、ツービート、紳助竜助
ここでのツッコミは、うなずいたり、合いの手をいれたりと、言葉数少ない一言ツッコミだった。
いわば
ツッコミ=注意
という図式をそのまま表していた。

今現在(2024年)はどうだろう。
ぺこぱ、東京ホテイソン、ミルクボーイ、真空ジェシカ、など・・・
ツッコミは「注意」にとどまらない。
ツッコミがボケを説明し、発展させる。

これを仮に
”伴走型ツッコミ”
と名付けよう。

相手のボケを拾い上げて乗っかり、かみ砕き、発展させ、己の意見を付け加える。


税理士も然り、
経営者の考えに
時には乗っかり、発展させ、時にはリスク提言したり、または背中を押したりする。
伴走して、最高を引き出す。
みうらさんに対する山田五郎さんのような立場で。


AIにはまだまだ取って代わることはできないと思うのだが、どうであろうか。

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